貴方にとって、音楽とはどのようなものでしょうか。
クラシックは高尚で、ポップスは過ぎゆき、邦楽は敷居が高い・・・
従順なる日本人は、揃ってそんな色眼鏡をかけている様に感じます。
私の専門が音楽であると伝えると、「音楽のことは全然わからなくて」と返される事がとても多く、その度に思います。「音楽がわかる人」とは一体どんな人を指すのでしょう。音楽に関する知識や情報を頭に詰め込んで、それらと照らし合わせて鑑賞する人でしょうか。
音楽は手紙のようだと、私は思います。
その時代、その国に生きて死んだ人の、見て触れたもの、悲しみや傷痕、希望や痛み、喜びといった形のないもの。言葉で語られるものが歴史ならば、音で彩られるのが音楽でしょうか。手紙を読む様に、ただ思いのままに、心のまま、貴方のままで聴いていただければ、それだけで充分なのです。
日常の何気ない手紙、のちに真意を読むことのできた手紙、破り捨てた手紙、宝物になるような手紙、読まずにそっとしまった手紙、心がほどけた手紙、勇気や思い出をわかちあえる様な手紙・・・そんな様々な想いや景色をジャンルの境界線を引かずにお届けしたい。そう願ってLetter
from Mシリーズ公演を始動致しました。
誰かが座っている何百人の客席にではなく、いつでも再生できていつも同じ精度で演奏してくれる聞く人にとって都合のいいモノでなく、どなたがいらっしゃるか一席一席思い浮かべながらチケットを嫁がせ、埋まっていくそのお顔ぶれと並行して選曲し、メンバーが今この一回しか生み出せない音をお届けする空間を制作しています。
私たちが今日発した音が、いつか届いた手紙のように、誰かの心や記憶の中で、ぬくもりや勇気となって寄り添える事を願って・・・
from Miho